君と過ごす冬の日


クリスマスに賛美歌が歌われたかと思えば
大晦日から年明けに掛けては二年詣…なんて言って神社へ足を運んだりする。
節操がないと言われれば、確かに節操はない。

冬と表記されたフォルダには、ケーキの写真の隣にカマクラの画像。鏡餅の下にライトアップされたツリー。
暫く進むと豆の入った枡の画像まで出てきた。

それはいかんせん早過ぎる。

一番無難な一面雪の画像にPCの衣替えをしながら、今年の年末はどうしようかな、などと考える。

クリスマスは本木も僕も日勤だったから夜にでもまたケーキが二人で食べられたらいいな。
年末は…どうだろう。
深夜勤だから、一番におめでとうを言い合うのはもしかして班の人とかも知れない。
除夜の鐘は聞けるかな。
外警も、勿論僕達もだけど、トラブルがなければいい。
年始は義姉さんの手料理を戴きに室井さんと、多分本木も連れてお邪魔して…。

どうしたって本木のことに結びついてしまう自分がおかしくてつい笑ってしまい
部屋の中を見回し、しんと静まり返った部屋にほっと息を吐く。

…良かった、今日は僕ひとりで。

家族と過ごしたクリスマスや大晦日やお正月。
時として友達とだったり仲間とだったりもしたけれど
それは穏やかな思い出であったり、少し騒騒しい思い出だったり
でも、そのどれもが擽ったくなる程に愛おしい記憶。

「…だから、だよね」

お祭り好きだったり、八百万の神様のいる土地柄、寛容というかアバウトというか…そんな国民性のせいかも知れないし
四季を楽しみ尽くそうとするある意味での貪欲さもあったりするんだろうけど

それもこれも、大切な人と沢山の幸せを分かち合いたいと願うから。

だから皆が楽しさや優しさや感謝を持ち寄るクリスマスも、大晦日も、お正月も祝いたい。
大切な人と過ごす、全ての日を祝いたい。

そんなに大した発見ではないし凄く当たり前なことなんだけど
本木に伝えたくなった。
でもこれって、要約すると、四六時中、君と居たいって言ってるようなものだから。

「欲張りだなあ」

片思いしていた彼とそんな風に過ごすことを望んでしまう自分の額をこつりと一つ叩き
けれどきっとそれを望んでいいと言ってくれるであろう彼の笑顔を思い出して
緩む頬を両側から支えるように掌で挟み込んだ。

「…幸せだなあ…」

その笑顔さえあれば、きっとどんな寒さにも耐えていけるって思うくらい
僕の頬は熱く、僕の胸の中は暖かかった。

節操がなくたっていい。
クリスマスも大晦日もお正月も

今年の冬も、これからも、全て彼と過ごすと決めた。


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